個人情報取扱主任者 合格体験記
受験してみて
この試験は、私の受験してきた資格の中で最も「マイナー」と言うことのできる資格・試験かもしれませんが、金融業界やIT業界など、「個人情報」を扱う業界では、それなりに名の通ってきた資格だと思います。
私は、半分会社の強制で受験したようなものですが、個人で受験しようと思っても、受験できるものではなく、主催する「日本クレジット産業協会」の会員企業(またはその関連会社など)の社員である必要があります。
今回の受験にあたり、この資格について色々調べてみましたが、なかなかいい情報が出てこなかったため、この資格については、少し細かめに説明しておきます。あくまでもこれを書いた時点の試験情報として、参照してください。
個人情報取扱主任者資格(認定制度)とは
全国信販協会および日本クレジット産業協会が創設した認定制度です。会員企業各社の個人情報を扱う担当者をターゲットとして、個人情報の重要性、個人情報保護に関する意識とスキルの向上を目的としています。
平成7年(正確には平成6年?)から実施されており、平成16年からは毎年の受験者が5000人を超えています。平成20年までに約60000人の認定者を輩出しています。
使用したテキスト
個人情報取扱主任者テキスト 第1分冊 業務編 社団法人日本クレジット産業協会
受験の申し込みをしたところ、会社の試験事務局から配布されました。受験者全員に配布されるものだとは思いますが、値段もバーコードもついていないテキストのため、恐らく普通の書店では手に入らないのではないかと思います。
内容としては、市販されている情処理技術者試験のテキストに比べて、「垢抜けない感じ」が否めません。
- 図が少ない(字が多い)
- 要点が分かりにくい
- 索引がない
- テキストのサイズが持ち運びに適さない
- 法律文のように、1文1文が長い
上記のような原因が考えられますが、単なる「試験対策としての分かりやすさ」だけではなく、本来の目的である「意識やスキルの向上のための分かりやすさ」を目指して、もう少し内容を見直して頂けるとありがたいと思います。私にご依頼頂ければ、レビュアーとして参加したいところです。
個人情報取扱主任者テキスト 第2分冊 資料編 社団法人日本クレジット産業協会
上記テキストと一緒に送られてきますが、開いたことがありません。何か調べることがある時に使う程度でいいと思います。試験はほぼ第1分冊から出題されると考えていいと思います。
こんな問題集も出ているようです。どこまで役に立つのか、購入された方はぜひ教えてください。
試験に関しての情報
一部、私独自の見解も混じっているため、正確ではないかもしれませんが参考までにご確認ください。試験の案内には、試験の翌月の上旬に結果速報が通達されるとのことでしたが、実際に通達されるのは、中旬~下旬になるようです。
受験資格 | 日本クレジット産業協会の会員企業の社員 |
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試験日 | 毎年2回(上期・下期) 2日間に渡って開催される ※ 要確認 |
試験の内容 | 50問の5択、2択、記述式の問題で構成 割合の目安は、5択30問、2択5問、記述15問 |
合格点 | 70点(配点・得点は公開されていない) |
合格率 | 60%~70%程度 |
受験率 | 約90% |
合格者発表 | 受験から約1ヶ月後に速報 受験から約1ヶ月半後に正式発表 |
試験会場 | 札幌、盛岡、仙台、新潟、さいたま、東京、横浜(新横浜)、名古屋、金沢、大阪、京都、神戸、広島、高松、福岡、鹿児島、沖縄など 受験申し込みの際に、受験地を選択できる |
試験時間 | 午後2時30分~3時30分 途中入室および途中退室はなし |
受験申し込みから合格発表までの流れ
私が受験した際の、合格までの流れをまとめてみました。実際は受験の時期や年によって異なると思いますので、必ず案内を確認してください。
試験スケジュール
受験票
受験に際しての案内
通信講座の修了証
通信講座の添削問題の採点結果
添削課題について
先に述べた通り、試験を受けるためには、通信課題をこなして「添削課題」を提出しなくてはなりません。この添削課題は、「添削」とはいうものの単なる「マークシート」です。
全ての問題は選択式になっており、テキストからほぼ引用される形で出題されています。つまり、テキストを見ながら解答を埋めていけば、誰でも100点を取ることのできるものです。
内容は1時間もあれば、埋めることができますが、提出期限だけは守るようにしましょう。
出題の傾向・勉強について
受験にあたり、この資格の合格者数名から、出題傾向について情報収集をしました。その結果と私が受験した印象を以下の通りまとめます。
- ほぼテキストの第1分冊、1章から5章の中から出題される。
- 通信講座の添削問題、テキストの章末問題から出題される傾向がある。
- 添削問題、章末問題から出題されるとしても、穴埋めの位置が違っていることがある。
- 2択の○×問題は、ケーススタディから出題されることが多い。
- 記述問題は、10文字以上書かせることはない。解答が10文字以上の問題は、選択になる。
- 記述の場合、解答のニュアンスが合っていても、テキストの文言と異なれば不正解。
私としては、上述した通り「テキストの章末問題」「通信講座の添削問題」を完璧にこなすことで、合格ラインである70%はぎりぎり取れるのではないかと考えています。その70%を80%~90%に上げるためには、選択問題に解答する時も選択肢を見ずに考えたり、解答部分の周辺にあるキーワードを覚えたりすることが必要です。
周りの合格者の話を聞くと、皆口を揃えて「ギリギリ合格」という回答が返ってきます。十分な試験対策を取るためには、「テキストの章末問題」「通信講座の添削問題」を暗記するだけではなく、一歩踏み込んだ勉強が必要です。
「一夜漬けや、1週間前からの勉強で十分」という意見もありますが、私としては最低1ヶ月/1日30分程度の勉強は必要なのではないかと思っています。また、当日は問題用紙が回収されるため、過去問が世に出回っていません。どうしても過去問が欲しい場合は、自社内で過去の受験者などから情報を集めて問題集として作成する必要があります。ただし、「章末問題」「添削問題」がほぼ過去問に準ずると言っても、過言ではないと思います。
試験当日に関する情報
試験当日の私のメモに基づき、情報を書きます。
- 1つの会場での受験者数は思ったよりも多く、男女比は6:4くらい。
- 受験者の平均年齢は、男性30代中盤~後半、女性20代後半~30代前半くらい。
- 会場は全て受験番号による指定席。受験番号のシールが机に貼られている。
- 各机には、下敷きが置いてある。(持ち帰り不可)
- 試験開始までは、皆テキストをパラパラやっている。
- 私の受験人生の中で一番大きな会場。(ホテルのホールを貸し切って実施)
- 試験問題は、開始の合図があるまで見てはいけない。(当たり前ですが)
- 問題用紙・解答用紙共に氏名を記入して回収される。
- 試験10分前には、試験事務局(クレジット産業協会担当者)から、注意事項が説明される。
- 全て指定席です。指定されていない席で受験することはできません。
- 受験票は試験開始後すぐに回収します。机上の通路側に置いてください。
- 受験票の内容に訂正がある場合は、今すぐ訂正してください。
- 解答用紙・問題用紙をセットで採点します。持ち帰った場合採点されません。
- 試験時間は1時間です。終了10分前に合図をします。
- 解答用紙・問題用紙を全員分回収したことを確認しないと、全員帰れません。
- 試験中にテキスト等を見ることはできません。
- 途中退出は不可です。
- マークシートはきれいに記入してください。
- カンニング等の不正行為があった場合は、会社の責任者に連絡をします。
- 携帯電話の電源は切っておいてください。
- 会場内は飲食禁止です。
- 問題の内容は、委員会にて検討・作成しています。
- 3月上旬に結果の速報を通知します。
- 成績優秀者には、記念品を進呈します。
- 試験が終わると、解答用紙・問題用紙の数量チェックが行なわれる。
- 数量チェックが完了して、全員が解放される。
- 解放後はすぐに会場から出るように促される。(会場予約の都合上)
- 1番最後に会場を後にしたが、下敷きを持ち帰っている人は1人もいなかった。
受験を終えて
この試験を設立した目的は素晴らしいものだと思いますが、正直言ってこの資格の取得によってその目的を達成できるかというと、少々疑問が残ります。なぜならば、出題される問題の質に「?」のつくようなものが多いからです。例えば、下記のような問題が出題されます。
与信事業者は、あらかじめ本人の( )を得ないで個人情報を第三者に提供してはならない。
上記の()の正解は「同意」ですが、選択肢の中には「了承」「了解」「承認」などという文言が並んでいます。日本語の辞書レベルでの意味の違いがあるにせよ、個人情報を扱う業務で理解しなくてはならないのは、「本人のOKをもらわずに、勝手に他に情報を提供してはダメです。」ということだと思います。
つまり、解答として「同意」だろうが「了承」だろうがどっちでもいいと思うのです。この試験の出題は、上記のような傾向が多々見受けられるため、「意味を理解する」だけではダメで、「文言の暗記」もしなくてはならないのが問題だと思います。
試験内容の見直しが進んで、より「実効性」の高い認定制度になることを望みます。
ちなみに成績優秀者への記念品は「CROSSの多機能ペン」が進呈されるようです。(時によって違うと思います)