新入社員にとっての資格

スタートダッシュを切るために

 新入社員が入社から配属、業務に当たる上で考えなければならないことは、「1日も早く戦力になること」です。どんな企業においても、即戦力社員は歓迎されます。そして、早く戦力になる上で一番重要なのが、目標の設定です。 「目標の設定」などという言葉は、小学生の頃から誰もが言われて、誰もがなかなかできないものですが、先生が口を酸っぱくしていうだけあって、本当に重要なものです。
 目標の立て方のポイントは、「具体的」「期限付き」の2つです。例を挙げましょう。

目標 説明
来年には、一通り仕事を覚えたい。 「一通り」とは、どの程度なのか分かりません。
来年が終わって、定量的に達成度の評価をすることができません。
○○さんのような技術者になりたい。 「○○さんのような」では、具体的にどのような面において目標とするのか、明確になっていません。
また、○○さんのようになるために、何が必要かを合わせて分析する必要があります。
給料が上げれば何でもいい。 給料が上がるためには何が必要なのか考えてください。
OracleマスターのGoldを取りたい。 Goldを取るためには、どのようなプロセスが必要なのでしょうか?またそれらのプロセスそれぞれについて、期限を設定してください。

 ということで、「目標の設定の重要性」を説明してきましたが、なかなか新入社員が具体的な目標を設定するというのも難しいものです。そこで、一番分かりやすい目標となるのが、「資格」なのです。目標とする先輩、覚えたい業務に応じて、資格の取得を期限付きの目標として掲げておくと、自然と今やるべきことが見えてきます。

 今、「自分がやるべきことが見えている」ということは、新入社員として、スタートダッシュを切り、戦力になるために、絶対に必要な条件なのです。
 先輩社員は、少なからず「新入社員=お荷物」という意識を持っています。そんな先入観を吹っ飛ばすくらいのスタートダッシュで、先輩社員を驚かせてください。


同期入社、同世代を強く意識する

 会社に入社すれば、同期入社や同世代の社員がいると思います。(いない方はすみません)
 そんな人たちと仲良くすることは重要ですし、入社後の心の支えになってくれる場面もあるでしょう。それはいいことですが、「絶対に仕事では負けない」という意識だけは持ち続けてください。そして、同期・同世代の中でライバルを設定するようにしてください。

 「競争」が格差を生むことは間違いありません。また、「競争」は人を成長させてくれることも間違いありません。

 私の場合、入社直後に2人の同期社員をライバルとして強く意識するようにしました。その2人は学生時代からシステム開発に携わっており、開発未経験の私にとっては、雲の上の存在のように感じていました。入社時に、情報処理技術者の資格も持っており、同期の中でも一目置かれるような存在でした。

 私は、まず「5年以内に2人の持っている資格を全部取る」という目標を立てました。その目標は時を経て、「同期の持っている資格は、自分も全部取得する」に変わり、達成することができました。
 今ではその目標は、「情報処理技術者試験全制覇(エンベデッドを除く)」に変わり、その2人も別の会社に転職してしまいましたが、この目標があったこと、目標を適宜軌道修正できたことで、新入社員の頃から資格に対するモチベーションは全く落ちていません。


勉強しろっ!

 今からひどい言い方をします。お気を悪くしないでください。

 新入社員は使えません。

 この歳になって思うのは、学生時代にどんなにみっちり開発を勉強してきた学生でも、なかなか即戦力になる新入社員はいないということです。ましてや新入社員本人が、「自分は即戦力だ」などと思うのも勘違い甚だしいです。
 かなりストレートな言葉で書き綴ってしまいましたが、私が言いたいのは、新入社員はきちんと勉強して欲しいということなのです。若ければ色々な誘惑もあるでしょうが、きちんと勉強する時間を確保すること、勉強する方法を確立することは、多少辛くともやるべきことなのです。「若いうちの苦労は買ってでもしろ」、この言葉が正しいです。  勉強の仕方が分からないならば、勉強している先輩に聞いてみてください。同期社員に倣ってみてください。勉強法のテキストを読んで見てください。必要だと思う資格のテキストを買って、片っ端から読みつくしてください。
 どこから手をつけていいか分からないならば、一番身近にある技術の勉強から始めてください。先輩から要らなくなった本を譲り受けて、テキストがちぎれるまで読んでください。
 そんなこともせずに「勉強はどうやってすれば・・・?」と言うのは甘えですし、そのまま勉強しなくなるのも単なる怠慢です。


資格取得はマナーである

 これは、私が新入社員の頃、ある先輩から言われた言葉です。
 「資格取得はマナーである」。その先輩社員が言っていたのは、

 「例えばふぐ料理を、ふぐの調理免許を持たない人がやってはいけない。しかし、SEの場合、免許を持たないから開発をしてはいけないということはない。しかし、お客様に対して、資格を持っていることで、私は技術者として、最低限の知識は持っているということを示せる。SEとして、開発に詳しくないお客様に接する上で、これは最低限のマナーなのではないか。」

 これを聞いた私は、「マナー」という言葉に、SEのプロフェッショナルとしての意識や、お客様からお金を頂いて開発作業をする責任の重さを感じることができました。



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