ITサービスマネージャ 合格体験記
3期連続、2日連続合格!
前年秋期の「プロジェクトマネージャ」、同年春期の「情報セキュリティスペシャリスト」に続き、3期連続の合格を手にすることができました。また、この合格発表日の前日には、「SJC-P 5.0」にも合格していたため、人生初の「2日連続合格」となりました。
情報処理試験を始めとして、今まで取得してきた資格は、どちらかというと「開発スキルの向上」を目的としていましたが、今回のITサービスマネージャは、運用担当者向けの資格。私としては、運用に関するスキルを身につけたいというよりも、開発担当者として、運用側の考え方や立場を理解したいという思いが強かったように思います。
結果的に、「この資格を取ったから運用の知識がある」とはならないかもしれませんが、少しでも運用担当者の考えに近づくこと、運用担当者を味方につけておくことは、開発担当者として武器になります。
この試験は技術色が薄く、顧客向けにサービスを提供している方々にとっては、割と敷居の低い内容になっていると思います。論文のネタに困らない方であれば、ぜひとも受験をお勧めしたい資格です。
毎年、この区分の受験者数が少ないのが私には理解できませんが、新試験制度になり、ITILに沿ったことで、受験者数が増えることを期待しています。
受験票(封筒)
受験票(本体) 【クリックで拡大】
今回私は、午前Ⅰ免除を申請したため、午前Ⅱからの受験でした。会場となった学校の教室は、私と同じく午前Ⅰ免除の方々のみしかいませんでした。そんな中、午後Ⅰの開始時に、試験監督が「問題用紙と解答用紙が一部ずつ足りない」と言い出しました。
試験監督がよくよく調べてみると、午後Ⅰから受験者が1人増えているとのこと。
どうやら、受験者の一人が「午前Ⅰ免除」と「午前免除」を勘違いしていたらしく、試験の本部から責任者らしき人がやってきて、退席を命じられていました。
その方がどれだけ勉強をしてきたかは分かりませんが、「午前Ⅰ免除だったこと」「ちゃんと会場にきたこと」を考えると、そこまで不真面目な方とは思えず、私はもったいない気持ちでいっぱいになりました。
今回の方もそうですし、受験番号の書き忘れも同じことが言えると思いますが、「不合格」ではなく、「不採点」で落ちるのは悲しいことです。今まで勉強してきた時間、勉強に協力してくれた人の気持ち、受験料、交通費…などを無駄にすることと同じです。
私も他人事ではないと思っています。注意しましょう。
使用したテキスト
2009 ITサービスマネージャ 「専門知識+午後問題」の重点対策 粕淵 卓 (著) アイテック
今回初めて、アイテックのテキストを使用しました。今まで避けてきた理由は特にありませんでしたが、どうも「字が多い」という印象を持っていました。今回の受験については、あまり知識のない区分であり、体系的な勉強が必要だと考え、色々選んだ末に、このテキストにたどり着きました。
結果、この1冊だけで合格できたため、選択は間違っていなかったと思います。試験の出題範囲に対する網羅率も非常に高いと思います。今後、アイテックのテキストにお世話になることが多そうです。翔泳社のITサービスマネージャのテキストも見てみましたが、要点のみまとまり過ぎているという印象でした。要点のみが欲しいという方は、翔泳社の方がいいのかもしれません。
このテキストですが、私が個人的に改善して欲しい箇所が2点あります。
- 索引が欲しい … 500ページ近くあるのに、索引がないのは辛いです。
- 直前チェックシートが欲しい … 翔泳社のテキストによくついているようなものです。
当初は上記テキストとあわせて、論文集を買おうと考えていたのですが、リックテレコムが販売していた「テクニカルエンジニア(システム管理)」の合格論文集が手に入らず、結局上記1冊で試験に臨むことになりました。上記テキストの午後Ⅱ解説は70ページほどしかありませんので、それで事足りない方は、別途論文対策のテキストを購入した方がいいでしょう。
午後Ⅰ対策
午後Ⅰの問題ですが、技術的に知っている/知らないというよりも、「ITサービスマネージャとしての気づきを得られるか」ということがポイントです。つまり、ITサービスマネージャに必要な知識はそれほどなく、「正しい観点から物事を考えられる力」が求められます。
私自身、システム管理の経験はないながらも、1冊のテキスト+過去問で1発合格を勝ち取っています。これは、ITサービスマネージャに特化した知識は大して必要ないこと、具体的な経験も必要ないことを証明しています。テキストの内容を確実にものにできれば、合格に必要な力は十分に身につきます。
参考までに、私がテキストにメモした言葉を記述しておきます。要点の押さえ方の一例としてご覧ください。(記述内容の正当性は保証しません。)
サービスサポートとは?
項目 | 一言説明 |
---|---|
サービスデスク | 問合せ窓口の「機能」を表す |
インシデント管理 | 発生したインシデントの回避・復旧が目的 |
問題管理 | 発生したインシデントの根本解決が目的 |
変更管理 | 発生した変更要求の可否判断、優先順位づけをする |
リリース管理 | どのように変更するかを考え、実装・配布までをする |
構成管理 | CI(Configuration Item)の管理 |
サービスデリバリとは?
項目 | 一言説明 |
---|---|
サービスレベル管理 | SLAの維持、PDCAによる改善 |
可用性管理 | 可用性を高める |
キャパシティ管理 | 最適なコスト(高すぎず)で、リソースに関するキャパシティを管理する |
ITサービス財務管理 | コスト(課金、経費)を管理する |
ITサービス継続性管理 | BCPと同じ IT以外の部分での可用性向上(ディザスタリカバリ、建物の信頼性、適正人材の確保・・・) |
実際のテキストでは、上記の説明に100ページほど費やしていますが、私が要点としてまとめたのは、これだけです。自分が思い出せる言葉でまとめるというのがポイントです。
テキストを読み、上述したようにポイントをまとめ、過去問を解き始めると、なぜか正答にたどり着けない現象に陥ります。テキストは一通り理解しているはずなのに、なぜか正答を導けない、これが「ITサービスマネージャの観点の不足」だと言うことができます。
そこで、セキュリティ、ネットワーク、コンピュータシステム、マネジメントなどの観点から、正答に対して、「なぜそれが正答なのか」を理解し、分析することが重要です。
他の試験も同様ですが、過去問を何回も解いて、ITサービスマネージャとして考えなければいけないことを身につけてください。
考え方の例は以下の通りです。(私がメモとしてテキストに残したものです)
- この構成では、信頼性、可用性、拡張性がイマイチだ。なぜなら…。
- この構成では、●●機器がレスポンスのボトルネックになる。
- ××機器はシングルポイントなので、障害が発生したら業務が止まってしまう。
- このテスト内容では、トランザクションのピーク時を想定できていない。
- このテスト内容には、イレギュラー処理のテストケースが含まれていない。
また、私もよくやってしまうミスなのですが、「余計なことは書かない」「問題をよく読む」ことに注意しましょう。
以下は、実際に出題された問題で、私がやってしまったミスです。
何でこんな間違いをしたのか、分かりません…
問:システムを停止する際に、しなければならないことは何か?(シカクマニア 改)
私の解答:システムを監視ツールの監視対象からはずす
模範解答:停止することを顧客に事前に通知する(お知らせ機能を使う)
問と模範解答を見ると、当然の答えですよね。
問題をよく読まず、経験などから解を導くのはご法度です。
午後Ⅱ対策
過去に論文のある試験を受験する際には、必ず1、2つ過去問から自作論文を完成させて臨んでいました。しかし、今回は、どうしてもその時間がとれず、過去問から、頭の中で自分なりのシナリオを展開していくのみの準備でした。
前日に、設問ア(序章)の展開シナリオを考えただけで、後は過去の合格で培った論文テクニックを駆使することとしました。とは言え、ITサービスマネージャの論文にも、きちんと押さえておくべきポイントはあります。私は以下のポイントが重要だと考えています。
チェックポイント | 具体的な評価内容 |
---|---|
ITサービスマネージャの立場と役割を理解しているか? | 運用管理者としての立場で論述しているか? プロジェクトマネージャ、ITアーキテクトなどと役割を明確に分けられているか? 短期的、長期的な視点からものごとを判断できているか? |
具体的なPDCAを設問ウに盛り込んでいるか? | 設問ウは単なる評価(よくできた)で終わってはならない。ITサービスは継続的な活動であるため、PDCAを意識する。 |
具体的な「行動」が記述されているか? | 上記考えを受けて、自分のとった行動、人にとらせた行動を具体的に記述できているか? |
具体的な「経験」が記述されているか? | 同様の事例、過去の経験からの判断など、経験の豊富さを表現できているか? また、経験を持つ人物を有効活用するなどしているか? |
問題分を引用しているか? | 問題文で「重要だ」と定義されていることは、論文内でも触れて、「重要と考えた」と記述しているか?(まるで自分で考えたように) |
主語は自分になっているか? | 自分がやったことを主体的に、「私」という言葉を使って記述しているか? |
内容に矛盾はないか? | 論文の前に書く業務の概要と相違はないか? 設問間で論点はずれていないか? |
行動がITサービスを意識しているか? | ITサービスマネージャは、単なるトラブルシューターではないことを分かっているか? |
私の留意した点を挙げてみましたが、結果的にプロジェクトマネージャの時と意識しているポイントは変わりません。合格できる要素さえ盛り込んでしまえば、自然と合格論文に近づいていきます。
また、補足ですが、試験改定後に若干原稿用紙のフォーマットが変わっています。以前は設問イとウに書く場所の区別はなく、解答者側で区切りを設定できたのですが、新試験では、「設問イはここから、設問ウはここから」という風に、原稿用紙が区切られています。設問イに続けて、ウを書き始めないように注意してください。
受験を終えて
受験を終えてみて、また各解答速報、解答例を見て、私の持った感想は「もっと問題をしっかり読んでおけばよかった…」というものです。つまり「もっと解ける問題があった」という印象を持っています。ボーダーライン上ではありますが、合格できたため結果オーライですが、次受験する時には、もう少し余裕のある合格を勝ち取りたいものです。
また、勉強中に思ったことですが、この試験の勉強をする前に、ITILファンデーションの資格をとっておくと、点が取りやすい問題が増えるのではないかと思います。私もせっかくなので、今後受験してみたいと思います。
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成績照会 【 クリックで拡大 】
合格証書は以下のような封書で送られてきます。
封筒 【 クリックで拡大 】
同封されている注意書き 【 クリックで拡大 】