資格マニアの休日

 以前、休日にたまたま立ち寄った図書館で、アプリケーションエンジニアの猛勉強をしている方を見かけたことがあります。テキストを何冊か広げ、ノートにかじりつくように何かを書いていました。休日にも関わらず、あそこまで勉強に集中できるその姿勢は、見習うべきことでしょう。

 とは言っても、やはり休日は休日です。「休みたい」「好きなことをしたい」というのが本心でしょう。これが、試験の前日や当日であれば話は違いますが、私としては、休日は大いに休むべきだと考えています。
そのためには、平日の努力が必要ですが、このページではそこは前提としてとどめておき、休日に休んだり、遊んだりすることの意義を私なりにご説明したいと思います。

 色々な背景はあるかと思いますが、「勉強しない理由が欲しい」という方の参考にもなるかもしれません。

メリハリをつける

 よく言われることですが、やはりダラダラ勉強するよりも、勉強する日と勉強しない日を作ってメリハリをつける方が、長い目でみた勉強の方法として、有効な手段だと思います。「次の休みを目指して、平日頑張る」という姿勢は、目標を細かく置くこと(マイルストーン)になり、人間の思考的にも、目標管理をしやすくすることができます。
 また、資格試験の勉強や受験勉強をしている人に少なからずあるのが「燃え尽き症候群」です。勉強の途中で「合格すること」が目的になってしまい、合格した後に目標を見失ってしまい、その後のやる気が出なくなってしまうというものです。これを防ぐためにも、休日は自分を見つめ直したり、好きなことをして気分転換したりすることは重要です。

 しかし、休日休むということは平日にしわ寄せがくることは否定できません。
 それを避けるためにも、休日を勉強時間として含めずに、スケジュールの計画を立てておく必要があります。もちろん、休日勉強しないということは、トータルとしては「長い期間」勉強することになります。


一度覚えたことを忘れてしまう

  「一度覚えたことを忘れてしまう」というと、一見あまり歓迎できないように感じるかもしれませんが、「忘れてしまう」というよりも、「頭を再起動する」という表現の方が近いかもしれません。勉強を続けていると、考え方や解答が頭の中にイメージ化されてしまい、問題を読まずに、見ただけで解答が言えるような状態になってしまうことがあります。(キャッシュのような感じです)
 それを一度忘れるということは、その状態を一度クリアして、「本当に理解して覚えたこと」と「一時的な記憶」の振り分けをすることができます。つまり、休日に忘れてしまったことというのは、あくまでも一時的な記憶だった訳で、例え勉強を続けていたとしても、別のカテゴリの勉強を始めてしまったらすぐに忘れてしまいます。
 また、料理では、グツグツ煮るだけでなく、一度冷ましてから再加熱すると味がしみやすくなるように、資格試験の勉強も同じようなことが言えると思います。


情報収集が必要

 資格試験や受験勉強では、どうしても視野が狭くなってしまい、テキストや過去問が全てになってしまいます。しかし、資格にもよりますが、最新の情報が取り入れられやすいものや、本来必要な知識以外の能力を求められるものは、自ら積極的な情報収集やスキルアップをすることが重要です。
 例えば、情報処理技術者試験を例にとってみましょう。プロジェクトマネージャに合格するためには、何が必要でしょうか?

 システム開発の現場で、実際のプロジェクトマネージャとしてバリバリ仕事をこなしてきた人やトラブルプロジェクトを何度も救ってきた人が、必ずしも情報処理技術者試験の「プロジェクトマネージャ」に合格するとは限りません。その理由として、「本来求められている知識以外」という観点で考えると、以下のような例が挙げられます。
  • 今までの経験を人に説明できるほど、体系的に知識化されていない。
  • 今まで経験してきたことを、分かりやすく説明するための文章が書けない。(主に論文)
  • 問題の意図を理解できない。読解力が足りない。

 あくまでも極端な例を挙げましたが、そうは言っても、完全な他人ごとではないと思います。では、上記3つの問題を解決するために、このやり手プロジェクトマネージャが勉強すべきことは、更なる試験勉強なのでしょうか?おそらく下記のようなことではないでしょうか?
  • 今までの経験を棚卸ししてみる。
  • 他の人に、自分の経験を口頭で話してみる。
  • 他の人の経験を聞いてみる。
  • 本を読んでみる。
  • 新聞を読んでみる。
  • 「論文の書き方」の本を読んでみる。

 対策に関しては色々な方法があるかと思いますが、先に挙げたプロジェクトマネージャに必要なのは、自分の経験をうまく利用するための「土壌作り」のようなものだと思います。資格試験の勉強をする前、勉強をしている途中でも構いません。合格に必要な「土壌作り」が何かないか、休日を使って振り返ってみてください。


周りの人とのコミュニケーション

 あなたが資格を取得するために、勉強をしています。その勉強に、直接的にでも間接的にでも協力してくれている人はいないでしょうか?ちょっと考えてみてください。
  • 身の周りの世話(食事・洗濯・掃除など)をしてくれる親
  • 身の周りの世話(食事・洗濯・掃除など)をしてくれる夫、妻
  • 勉強が忙しいと思って、あえて遊びに誘わない友人、知人
  • 勉強にはお金がかかると思い、別のところで出費を抑えようとしている人
  • 勉強が忙しいと思って、あえて寄ってこない子供
  • あなたに勉強させるために、何かしらの作業を請け負ってくれている人
 休みの日くらいこの人たちに恩返しをする時間に使ってもいいのではないでしょうか?資格をとった後に、「1人で合格した」という顔をするのもよくありませんが、資格の勉強中を理由に、コミュニケーションを断つのも考えものです。
 ちょっと話はそれますが、以前一緒に仕事をしていた外国人に、こんなことを言われことがあります。
 日本ではなぜ「家族サービス(Family Service)」というのか?家族との時間は奉仕ではなく、自分も一緒に楽しみ、協力し合うもの。「家族時間(Family Time)」が正しいのではないか?

 この考え方には、思わず脱帽でした。



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